#3 / 橋本司さん

投稿日: カテゴリー: WARASHIBE

出会いのわらしべ高校生

ーー世界を広げ、人を知り、自分を知る

高校2年生・ユウシ(田村雄史)が人と出会い、お話を聞き、次の人を紹介してもらい、会いに行く。わらしべ方式で人に出会い、関わっていく中で、大いに成長していく(かもしれない)ストーリー企画です。

 

>>> 第3回のご協力者
橋本 司さん

「道具の試着ができるお店」
カトラリーを中心としたセレクトショップ「LADER」を経営。

≫ LADER (http://www.lader.jp/ )
意味>新(http://imi-shin.com/ )にてコラムも執筆されています。

紹介者:中村 新さん(アクセサリーデザイナー)>>>
センスは知識でも養うことができる。
センスに卓越した橋本さんからお話を聞いて刺激を受けてください。

 

 

第2回のご協力者・中村新さんとの待ち合わせ場所でもあった「LADER」にて、店主・橋本さんにお話を伺ってきました。

 

 

 

ユウシ:コミュニケーションが苦手というか、頭が真っ白になるタイプなので、人とコミュニケーションを取るときに気を付けていることを教えてほしいです。

 

がんばってできないこともある。
だけど、それと上手に付き合っていくことはできる。

 

橋本僕も、人に「はじめまして」の第一声をかけることがすっごい苦手なんです。こういう風に話す機会、理由があれば話せるんですけど、たとえば大勢の人が集まるようなイベントで「あの人面白そうだなぁ」と思っても自分から声をかけることがまずなくて、友達とか共通の知り合いがいて紹介してもらって、という形じゃないとなかなか話せないんです。自分からいける場合っていうのは恥ずかしい話、お酒を多少飲んで、自分に勢いづけるというか麻痺をさせてからじゃないといけないっていうのがありますね(笑)

 

ユウシわかります。僕も初対面で話す時って、1人だけの時って全然話せないんですけど、友達の友達とか、そういう繋がりがあったら喋れるんですよね。だから今のお話すごいわかります。

 

橋本うんうん、そうなんですよ。それは本当にダメで・・ただ、一言目さえ交わしてみれば割と話せる方だとは思います。

 

ユウシそうですね、僕も確かに一言というか勢いがついてしまえばいけるんです。あとよくあるのが、普通に仲良くなってどんどん喋れるようになるんですけど、どう呼んでいいか分からないってケースがあります。

 

橋本あ、名前ですか?ありますねぇ。めちゃめちゃあります。僕、顔と名前を全然覚えられないんですよ。だからお店をやってるとかなりよろしくないんですけど、もうそれは仕方がないので、最初に会った時に伝えたりしますね。「本当に申し訳ないんですけど顔と名前を覚えられないので、次に会ったら失礼なことになるかもしれない」っていうのを最初に言ってしまいます。

 

得手不得手というか、がんばってできることとできないことがあると思うので、がんばってできない部分と上手に付き合っていくにはどうすればいいんだろう?ということで今は「最初に伝える」という方法を取っています。

 

ユウシなるほど、そうなんですね。

次に、この企画のきっかけになったことでもあるんですけど、僕は、自分の想いを伝えるのが苦手で、たとえば話をしてたり、あとは説教されていたりする時に「雄史はどう思ってるの?」て聞かれた場合に、言葉が全然出なくて。自分の想いを伝える時にはどうしたらいいのか、ってことを教えてもらいたいです。

 

橋本ちょっとその方法の前に、たとえば相手がアドバイスをしてくれたとするでしょう?そのアドバイスに対して、「うんそうだなぁ」と思ってるのか、「いやでも」と思ってるのか、言葉が出てこないと相手には分からないんですよね。アドバイスをした側としては、自分の意見を飲んでくれているのか、ポジティブに捉えてくれているのか、もしかしたら的外れなことを言って反感を買ってるのか、そこが分からないと話がしにくいんですよ。なので、全然出てこなくてもいいんですけど、そのアドバイスに対して、自分がどっちの姿勢なのか、YESなのかNOなのか、というのは最初に伝えてあげると、話す側がすごく話しやすいんです。


で、なんかひっかかってて、でもなにがひっかかってるのか自分でも分からなくって、でも分かってる部分だけでも小出しでもいいから伝える、っていうのがまず大事かなと思いますねあとは、うまく言おうとしない。

 

ユウシあー よく言われます。僕は相手の正解を探してるってよく言われてて自分ではそう思ってないんですけど、物心ついてから多分そういう生き方をしているので染みついちゃってて。

 

”自分のネガティブなポイントっていうのはプレゼンの仕方を変えればポジティブな要素になるんですよね。”

 

橋本その相手の言いたいことを汲み取ろうとするっていうのはすごくいいことで、問題は、相手に言いたいことと自分の意見がズレてる時に、本当は自分はそう思ってないのにこの人はこう言ってるから合わせてあげようってなっちゃうと、ちょっと話が変わってきちゃうと思うんですよね、そういうところってありますか?

 

ユウシそうですね。話をしてる時とか、説教されてる時とか、自分の想いっていうのがまとまらなくなっちゃって テンパっちゃって、テンパってテンパって、最終的に、テンパった状態で相手の答えを探そうとしてしまうので、多分、まだそこまでいけてないっていう感じですね。

 

橋本うーん、そうかぁ。ちなみに説教されてる時ってイヤですか?

 

ユウシそうですね・・(笑)

 

橋本それは、なんでそんなことで怒るねん?みたいなことだったりするのか、できない自分に対して落ち込んだりイライラするのか、どっちですか?


ユウシ
うーん まぁそうですね。なんでできないのかな?っていう風に思ったりしますね。

 

橋本ああ じゃあ結構反省して自分に腹が立ったり落ち込んだり?

 

ユウシ多分そっち側だと思います。

 

橋本それで相手の正解を探すっていうのは、相手がこう言ってほしいだろうなってことを探しちゃうって意味ですか?

 

ユウシそうですね。


橋本
あー、そうかー。難しいですけどね。でもある程度大人になってくれば、その人がどうしたいのかっていうのがハッキリしてる、っていうのが結構大事になってきて、「一般的にはこう」でも「今言ってることはこう」ていうのがズレてたら、それを無理矢理修正しようとするよりかは、さっきの話じゃないですけど、もうそのズレと付き合っていくしかないんですよね。

 

変えれることだったら変えればいいんですけど変えれないこともあるじゃないですか。そうなった時に、いかにそれと付き合っていくか。

 

たとえばお笑い芸人さんって自分のダメなところをむしろ笑いにしてたりするわけですよね。自分のネガティブなポイントっていうのはプレゼンの仕方を変えればポジティブな要素になるんですよね。生きにくい要素があっても自分で自虐ネタにできるようになれば、みんなから愛されることになるわけで、まあちょっと男女みたいなことになると難しい場合もありますけど(笑)なのでプレゼンの仕方な気がしますね。

 

ユウシなるほど 見方・言い方を変えればいいんですね。

 

橋本そうですね。

 


 


ユウシ
じゃあ次は、自分の意思とか意見とかを通したい時ってどうしてますか?

 

橋本場合にもよりますけど、仕事で意見を通したいっていう場合は、まあ基本プライベートでも一緒かもしれないですけど、自分の利益だけを考えると多分難しくなってくると思うんですよ。なので、たとえば仕事の場合だと、相手の利益にもならないと相手はそれをオッケーする理由がないわけですよね。なので、自分のやりたいことが相手にとってもプラスになるっていう側面をしっかり伝えることっていうのが大事だと思いますね。

 

プライベートの場合だと、自分のわがままっていう風になってしまうと飲み込んでもらえないんで、「相手のことも考えた上で自分はこれがいい」っていう、やりたいことの中で、自分だけじゃなくてそれに関わったり影響されたりする人達のことをちゃんと思いやれているか、そのことを伝えられるかどうか、ていうのがポイントな気がしますね。


ユウシ
自分勝手じゃダメってことですね

 

橋本うん。おそらく自分のことしか見えてない人の企画っていうのはうまくいかないんですよ。アーティストみたいに、自分のやりたいことをただ表現できればいいっていう場合は別かもしれないですけど、何をやるにも誰かしらが関わったり影響したりすると思うので、人のことをある程度考えられないと、たとえば仕事で新しいサービスをスタートするってなった時に「そのサービスで誰が喜ぶだろう?」っていうようなことが想像できてないサービスって多分うまくいかなそうな気がしません?その辺のことをしっかり考えてあるっていうことをまず伝えるってことかな。

 

インタビュー当日の店内。 後日、お天気のいい午後にもお邪魔しましたが、広めに取ってあるスペースと差し込む光が生み出す解放感で、「モノを買う」だけではない、余白の楽しさ、優しさを味わうことができました。

 

 

橋本あとは、思った以上に、自分の頭の中にあることって人に伝わりづらいんですよね。同じ映画を一緒に観に行って、「あの映画ってホントよかったよね」って「いやほんとよかったよー」って、よかったと感じるテンションが同じぐらいだったとするじゃないですか。それで喫茶店でコーヒー飲みながら「どこがよかった?」て聞いたら、良かったって感じるポイントが全然ズレてて、「あそこイマイチやったわ」って言うところが相手からしたら「むしろそこがよかった」っていう風にズレてることがあって。だから、それぐらい、わかんないもんなんですよね。

 

なので、これは僕が普段から注意してることなんですけど、なるべく自分の言葉でしゃべらないようにしてるんですよ。というのは、僕の場合、日用品とか雑貨っていうのは身近で想像しやすいんですけど、雑貨に興味がない人、たとえばスポーツ選手だったりした場合に、雑貨のたとえをしても通じにくいと思うんですよね。で、スポーツ業界だったらこういうことありそうだなっていうのをイメージして「スポーツでこういうことってありません?」て置き換えてたとえ話をすることで、なるべくズレなく理解してもらおうっていう風に思っていて。なるべく相手のフィールドに立って話そうとする、っていうのは気を付けてるひとつですね。

 

たとえば昨日の中村さんだったら、伝統工芸に位置づけられている組紐っていうのは技術的にはすごいけど昔のもの扱いされて今の人の生活にフィットしない、というような問題って多分あると思うんですよ。それをどうしていったらいいんだろうっていうのが中村さんの仕事だったりすると思うので、「そういうことってやっぱりありますよね」っていう話をして、「僕の場合で言うとやっぱりこういうキッチン雑貨っていうのも家事は女の人のものっていう古い価値観があるんで男の人にどうやってアピールしていったらいいかって言う悩みがあるんですよね」って言うと、「アピールしていきたい人に対してどう打ち出していくべきか」っていう形は違えど同じ悩みを共有してるってことになるんですよね。こういう風に共通項を作っていくと、聞き手の側が話を聞いてくれやすくなるというか。

 

同じ説教をされるにしても、「なんでお前に言われなあかんねん」て思う相手と「この人に言われるならああそうだな」って思える相手っていると思うんですよ。なので、ああそうだなって思ってもらえるようになるように共通項というか共感を増やしていったり信頼を得ていくというのも1個手段かなと思いますね。

 

ユウシ中村さんにもコミュニケーションの話の時に「共感」って言葉が出てきていました。そうかーなるほど。

 

橋本うん、大事だと思います。

 


 

ユウシ壁にぶち当たったりした時、どうしてますか?

 

視点の角度を広げる為に、時にはまったく関係ないアクションを


橋本
まず最初に、めちゃくちゃ漠然としてますけど、とにかく考えます。たとえば僕がいわゆる雑貨業界みたいな中での悩みを抱えていたら、他のお店はどうやっているんだろうってことをできる範囲でリサーチしてみたりだとか。たとえばそれが経営的な悩みだったら、経営に関わる経営者の他の意見を聞いてみたりとか、それでも答えが出なかった場合は、まったく関係ないことをしてみたりします。

 

それは、同じところにずっといると、柔軟に考えてるつもりでも目線が偏ってしまうというか、いろんな角度から物事を見なきゃいけないのにその角度の幅が狭くなっちゃうんですよね。

今起こっている問題というか壁自体はなくならないので、その壁にどうアプローチするかっていうのが今の自分の課題なわけで、てなるともうまったく関係ない全然違うところに行くことで、自分がリアルに悩んでいればいるほどどこへ行っても頭の片隅にその壁はあるんで、たとえばパン屋さん、靴屋さん、散歩しててとか、いろんなことを壁に紐づけて考えるというか、そこでちょっとでも糸口が見つかったりすると、ハッて思ったりすることがあるかもしれないので、そうすると、今までは片方からしか見えてなかった問題に対して別の角度からアプローチができたりするので、そういう意味では、一生懸命向き合いすぎないというか、力を抜いて外に目を向けることも大事な気がしますね。

 


 

ユウシ自分の世界を広げるために、どんなことをしていますか?

 

”どれだけ打ち消そうとしても出てきてしまうのが個性”


橋本
ちょっと答えになってるかわかんないですけど、なるべく自分を持たないようにしてることかもわかんない。よく「諦めるな」とか「続けろ」って言ったりするじゃないですか。自分らしさとか、僕ら世代で言うと自分探しって言葉が流行ったりもしたんですけど、僕はそういうのって邪魔にしかならないと思っていて、たとえば「なにか欲しいなぁ」とか「あれいいなぁ」って思った時にまず諦めてみるんですよ。まあいいやと思って。そのまんま諦められたらそれはいらなかったものになるじゃないですか。でもずっと気になっててやっぱりほしいなってなると多分それは自分の中で諦められないものになっていくと思うんですよ。なので、大事とされているものだったり、これが自分らしさだなとか思ってる枠は一度捨ててしまうんですよ。それでも結局枠のあった位置に自分が戻ってきたりするんだったら、やっぱりそれは捨てきれない自分らしさで。


結局、自分らしさなんてものは探さなくても何をやっても出てきちゃうんですよねどれだけ打ち消そうとしても出てきてしまうのが個性なので、個性なんて探そうと思わなくていいと思うんですよ。逆に、自分が空っぽになってしまえば、なんでも柔軟に受け入れられるようになるので、その中で「あれおもしろかったなーでもどうでもいいや」って捨てて、でも「やっぱりあれ面白かったね」って残っていくものって、ある程度自分のフィルターでふるいにかけて淘汰されて残ったものだと思うので。これがなんで残ったんだろう?とか、それを注意深く見ると今の自分とリンクするところがあったりだとか、その中の面白みに気付けたりとか、今後の自分のヒントになるものが隠されていたりだとか、そういうのは後から気付くものな気がしますね。なので、自分らしさを捨てるってとこですかね。

 


 

ユウシじゃあ次は仕事関係の質問で、この店を始めた理由を教えてください。

 

しっかりモノを選んでほしいから。―「道具の試着室」

 

橋本まず今の仕事を始める前の話になるんですけど、当時24歳ぐらいの時にフリーターをしていて、カフェのバイトをしていたんですよ。でも僕は飲食業は合わないなと思っていて、このまんまじゃいかんということで自分の好きな音楽とインテリア関係のなにかしらそれに関わる仕事しかしないって決めて仕事を探し始めて、たまたま先に受かったのがインテリア関係の、前の会社だったんですけど、それがネット通販の会社で。

 

中学校ぐらいからインテリアが好きで、いわば憧れの目で見てたんですよね。でも、いざ業界の中に入ると、イヤなことがいっぱい見えてきたんです。で、理想と現実の違いみたいなものをまざまざと見せつけられてすぐイヤになっちゃったんですけど、でもその中でもいいところもあるし変わらず好きだったりするし、なにより自分は生活を送る為に普段使うものを買わなきゃいけない、選ばないといけないわけで、じゃあ「イヤだな」って想いをせずに済むように選べるモノが売ってるお店があればいいなっていうのを漠然と思い始めたんですよね。でも世の中に雑貨屋さんなんてごまんとありますよね。その中で自分にお金もないし知名度もない、ましてやセンスのいい人に勝るとも劣らないような才能もない。じゃあどうしたら勝負できるんだろうってずっと分からなかったんですよ。

 

ある時に会社に営業の人がきて、どこにでもありそうな木のスプーンを「どうですか?」って持ってきたんですよね。僕はその営業さんがお金儲けの話しかしないので嫌いだったんですよ(笑)「またしょうもないスプーン持ってきて」って思ったんですけど、よくよく考えると、その木のスプーンがいいものかわるいものか自分では判断できてなかったんですよ。しょうもないなぁとは思いつつ、内心悪くないって思ってる自分も本当はいて、じゃあスプーンの好し悪しをはかれないなら、あの営業さんに文句を言っちゃいけないなと思って、でも僕はその営業さんが嫌いだったんで文句を言いたいんですよ(笑)。なので、大丸とか高島屋とかセレクトショップとかあらゆる場所に出向いていって、とりあえずスプーンとかフォークとか、いっぱい持ってみたんですよね。その時に、何がどう違うか、どうやってたら持ってる感じがいいか、っていうのを観察して、自分にとってのいいカトラリーの条件みたいなのを構築していったんですよね。

 

最終的にスプーンもフォークも食べるためのものですよね。でも、肝心な口当たりが確かめられなくて、僕はある時に売り場でスプーンを持って、このスプーンくわえたいなぁってめっちゃ思ったんです。でも当然売り物なのでくわえたら怒られるじゃないですか。そのパクってする為だけに、1本1000円くらいするスプーンを買わないといけない。で、買ってもし口当たりがすっごいイヤな感じだったら、その1パクの為に買ったものを捨てるか、働かせておかないといけないんですよね。それがもったいないなぁって思ったんですよ。その時に、服は着る為のものなので試着がありますよね。食べ物は食べるものなので試食があるじゃないですか。で、道具は使う為のものなので試用がないっていうのはおかしいなぁって思ったんです。なので いわば道具の試着ができるお店っていうのがあったら、ちゃんとモノを選びたいってなってきてる今の時代だったらしっかり選びたいって人に喜ばれるんじゃないかなと思って。そういうお店って今までに見たことがなかったのでコレだったら勝負できるんじゃないかなと思って、で、今の形にお店をやってみようって思った感じですね。

 

 

「道具の試着室」のある店内

 

ユウシ仕事のこだわりについて教えてください。

 

橋本ざっくり言うと、なるべく自分にうしろめたさを感じないようにするってことですかね。ネット通販の会社とはいえモノを売る会社に6年ぐらいいたので、このへんを置いておいたら売れるんだろうなっていうのがなんとなく分かるんですよ。雑貨にもトレンドがあったりするので、今だったらこのへん押さえておけばベターだなとか、「これ雑誌で見たことあるーかわいいー買ってみよう」ていう風な流れもある程度は想像できたりするんですけど、僕自身がそれを面白いと思えてないんですよね。てなるとそれは、お金儲けの為だけに置くことになるわけじゃないですか。それをやってしまうと、自分がいいって思ったものよりお金儲けを優先してしまうっていう選択を今後あらゆる場面で、生活があるしなーとかお店続けていかないといけないしなーとか言い訳をしてどんどんゆるくなっていってしまう気がして。なのでそれを今は極力やらないように、やらずに食べていくには、お店を回していくにはどうしたらいいかっていうのを考えながらやってますね。

 

 

ユウシこの仕事の目標はなんですか?

 

”「いいモノを売りたい」よりも「よくないモノが流通してほしくない」って気持ちが強いんです。”

 

橋本すごく偉そうなことを言うと「お客さんに賢くなってほしい」ってことですかね。さっきもちらっと言いましたけど、前の会社に来てた営業さんみたいに、去年売れた商品に似たものを次の年に出して、資本力に物を言わせて大量に作らせて値段を下げ、カラバリを増やして選ぶ楽しさとかを打ち出して、というような商売をしてるところっていっぱいあるんですよね。それ自体は商売としてはナシじゃないかもしれないんですけど、僕はあんまり好きじゃないんですよ。で、一番イヤなのは、苦労してオリジナルを思いついた人に敬意がなさすぎるんですよね。「すごくいいけどあそこがもっとこうだったらもっといいのに」とか、自分が好きだからこそよりよいものを作りたいって姿勢だったらいいんですけど、「売れた、じゃあうちでもあほな消費者が飛びつきよるわー」ってオリジナルを作ってる人もバカにしてるし、消費者のことも甘く見てると思うんですよ。僕はそういう人達はキライなので(笑)

 

いいモノを売りたい」より、「よくないモノが流通してほしくない」って気持ちが強いんです。なので、買う側が賢くなってニセモノに飛びつかなくなれば、結果としていいものの流通が増えていくので、変なものがいっぱい回る世の中じゃなくなったら嬉しいなってのがありますね。

 

でも味の好みと一緒で、かわいいかっこいいっていう感覚って千差万別なので、みんな好きなように選べばいいと思うんですけどね、その方が絶対楽しいので。ただその中で、お金儲けの利益しか考えてない人達が生み出したものをつかまされるっていうのは損だと思うので、損する機会が減るっていうのは消費者的にはプラスになると思うので、みんなで賢くなって、ヘタなものを掴まされずに、ムダなお金を使うことなく、好きなものにちゃんとお金を払って買ってあげましょうてなるとみんなWINWINだなって感じですね。

 


 

ユウシ店名「LADER」の由来を教えてください。

 

橋本最初、名前決めようってなって、なんとなく昔からずっとあるモノから拝借するのがいいんじゃないかなって思って、色々考えてた時に、ハシゴって英語でLADDERという表記なんですけど、ハシゴってみんな知ってるじゃないですか、ずっと昔からあるものだし。ちょっと恥ずかしいんですけど、こういう話(笑) ハシゴって構造がめちゃくちゃ単純じゃないですか。そのシンプルさもよかったり、こんなに単純なまま、ある意味あまり進化せずに、昔から同じ形であって、今は、何かをひっかけて収納したりとか、ハシゴっていう本来の用途からはずれてもなお残ってるっていうたくましさもよかったんですよね。

 

で、英語のことわざで「千里の道も一歩から」っていうのがあって、その中にLADDERていう単語が入ってるんですよ。(”Step after step the ladder is ascended.”)丁寧な暮らしとか理想な暮らしって、「わーあんな暮らし憧れるな」とか「うちもそんな風にしたい」とかって、みんな理想で勝手に自分から遠いものにしてしまってるのをよく見かけるんですよね。でもまさに「千里の道は一歩から」で理想の暮らしっていうのは、それこそカトラリー1本をちゃんと選ぶっていうような、モノを1個1個ちゃんと選んでいったその先がその人にとっての理想の暮らしなわけで、近道できないんですよね。パッケージで、どこかの理想の暮らしをひょいっと買ってきたところで、試着の話じゃないですけど、おしゃれな服が自分に必ずしも似合うとは限らないし、やっぱり1個1個確かめて自分に合うモノを選んでいくしかないんですよね。それって楽しい反面、やっぱり大変なんですよ。時間もかかるし失敗するだけお金もかかるし、まず探す労力も必要なので、みんながみんな同じだけ時間と労力・コストをかけて、手に入れられるか、入れようとできるかっていうと、まぁそうじゃないので。

 

なので、千里の道のりをちょっとでも短く感じてもらえればいいなぁと思ってLADDERのDを1個けずって道が短くなるようにってんでLADERになりました。

 

想いが溢れる店内にはカフェカウンターも。コーヒーをいただきながら橋本さんのお話が聞ける、とても贅沢な時間が過ごせそうです。

 


 

ユウシこの仕事のいいところ、悪いところを教えてください。

 

「おいしい」や「楽しい」の下敷きにうちの道具を選んで使ってもらえる、「生活の裏方」みたいな幸せ。

 

橋本いいところは、たとえば、年齢的に友達が結婚したりってことが多いんですけど、一緒に住むようになるから家のものを新調しようって見に来てくれたりするんですよ。その時に、友達の距離感だったらなかなかしないような家の話をしながらモノを選んだりするんですよ。「これいいやーん」とかダンナさんが言ったりして。で、「いいけど使わへんでしょ」とか「見た目で選んで使ってないのいっぱいあるやん」とか言ってて、その、生活感ありありの感じがすっごい微笑ましくって、そうやってまさに一緒に生活していく上の歩調を合していくわけですよね。元々は別々の歩調だった2人が歩調を合せてひとつの家で生活していくっていう、その会話を自分の店でやってて、今から同じ歩調で歩いていく上で使うモノを買ってくれて、ちょっと恥ずかしい話ですけど、家でごはん作っておいしい楽しいみたいなものの下敷きにうちで買った道具がある、ていうのは、舞台で言うと役者じゃなくて裏方だと思うんですけど、生活の裏方としてうちで売ってるものを選んでもらえるっていうのは幸せだなぁて思いますね。


よくない点は、
結果的にオッケーだってことにしてるんですけど、僕としては本当は、個人個人が自分の尺度でモノを選んでほしいと思っているので、「ちゃんと考えてほしい」ってのが本音なんですよ。でも良くも悪くもうちのお店を信頼して「LADERさんに置いてあるんだからおかしなものはないハズ」っていうので、半ば盲目的に選んで買っていってくれる人もいるんですよね。それはお店としてはありがたいことなんですけど、自分の気持ちとしては本意ではない部分もあって。だけど、僕の気持ちとして「変なものが流通してほしくない」っていうのが強いので、結果的に、丈夫で長く使えるものをウチで買って、その分、よそでへんなものが売れなくなるなら結果オーライかなって思ってます。しいていうならそこですかね。

 


 

ユウシ逆に質問はありますか?

 

橋本なにしてるときが一番楽しいですか?

 

ユウシ今、テニス部やってて、中学の頃からやってるんですけど、テニスをやってる時が楽しかったり、あと、僕、ゲームが好きなので、なにも考えなくていいゲームとかやってる時が落ち着くし楽しいなって思います。

 

橋本ちなみにその好きなことをやってる時に、自分は、それが得意だなって思いますか?

 

ユウシ:うーん 得意だなとは思ってなくて、自分よりうまい人がいるのは知っているので、あんな人になれたらいいな、みたいなのを思ってやってたりしますね。

 

橋本:「好きこそものの上手なれ」って言葉があって、好きなものは上達しやすいっていうか上達するにはまず好きになれ、みたいなことなんですけど、逆に言うと、あらかじめ得意なことって好きになりやすいって側面も持ってると思うので、カフェをやるってなった時に、自分の好きなことや得意なことっていうのがやっぱりお店の持ち味というか、キャラクター作りに貢献してくれるにこしたことはないなと思うので。

 

自分の好きなこと、テニスやゲームっていうのが本当にテニスとゲームという意味なのか、テニスとゲーム的な要素が含まれているものであれば別のものに変わっても好きになる可能性があるわけじゃないですか。で、そういうようなこととか、あとは、特に好きだなぁと思ってないけど割と苦労なくできるってことも、それは人よりアドバンテージがあることなのでなにかしら店づくりに流用できるなぁと思って、今聞いたんです。

 

 


後日、改めてお店にお邪魔して我が家にもいくつか素敵なモノたちがやってきてくれました。そのこともまた記事にしたいと思います。
橋本さん、ご協力ありがとうございました!

 

>>> 第3回のご協力者
橋本 司さん

「道具の試着ができるお店」
カトラリーを中心としたセレクトショップ「LADER」を経営。

≫ LADER (http://www.lader.jp/ )
意味>新(http://imi-shin.com/ )にてコラムも執筆されています。

橋本さんおススメのカフェを聞いてみました>>>
喫茶マドラグ
カフェというより喫茶店

古き良き喫茶文化を残したいっていうのがメニューに現われてるお店。
流れに対して試行錯誤されている、古き良きを残すという方針を持ちながら変えるべきところは柔軟に対応していっているお店。